Maggie～La Vie

　「横浜２‐１１阪神」（１８日、横浜）

　歩幅１０センチの改良で、２本の放物線を描いた。念願の新打法１号が貴重な追加点を運んだ。１点リードの四回。直前、中飛に倒れた城島がファウルを連ね１２球粘った。直球とスライダー、カーブ、フォーク。阪神・林は、ネクストバッターズサークルで３種類の変化球にタイミングを合わせ、打席へ向かった。「ピッチャーが疲れていたんじゃないですか」。試合後、２９日ぶりの感触を問われ謙遜（けんそん）したが、仕留めた打球は文句なし。追い込まれながら、真ん中のフォークを完ぺきに右翼席へ運んだ。１点差に迫られた直後、林の２号ソロが、傾きかけた流れを自軍へ引き戻した。

　自身の選択は間違いじゃない。そう確信したのは続く五回の打席だ。ブラゼルの特大弾の後、２死二、三塁。今度は左腕の篠原から再び右翼席へ軌道を描いた。鳥谷、ブラゼルに続く１イニング３発の締めは林の３号３ラン。０６年６月１７日のオリックス戦以来、自身２度目の２打席連発で横浜にとどめを刺した。

　打撃フォームを変えた。桜井との定位置争いに敗れた形で開幕を２軍で迎えた今季。危機感で自身を見直した。生きる道は一つ。天性の飛ばす力を残したまま、確実性を求めた。八木、町田両２軍打撃コーチの指導で、従来のスタンスを変えた。立ち幅を広く、やや重心を落として構えた。「結果が出なくて（元に）戻したりしたけど、最近は広めに立って、結果が出るようになった。代打とかスタメンで打てなくて悩んだこともあったけど、１本出れば気持ちも変わる。たくさんいい選手がいるし、今はアピールしかないので」。この日は七回にも犠飛を放ち、２本塁打５打点の活躍で存在感を示した。

　「巨人は負けてくれた方がうれしいけど、目の前の試合を１戦１戦大事に戦っていきたい」。林が本塁打を放てば、０７年５月３１日の西武戦から１４連勝（１５戦連続負けなし）だ。スタンスを広くドッシリと構えた林が８番で睨（にら）みを利かす、新ダイナマイト打線の迫力に背番号３１は欠かせない。